① 洗面所にハンドクリームしかない朝
朝、顔を洗ったあとに頬がつっぱっている。乳液は先週切らしたまま買っていない。洗面台にあるのはハンドクリーム1本だけ。
これ、顔に塗ったらダメなんだろうか。同じ保湿なんだから別によくないか。
そもそも、スキンケアの種類を増やしたくない。手用と顔用と体用を別々に買って並べるくらいなら、1本で全部済ませたい。そう思っている人は多いと思う。
結論から言うと、部位によって答えが違う。そして「全部ダメ」ではない。
② 部位別の可否をまとめると
| 部位 | 可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 手 | ◎ | 本来の用途 |
| ひじ・ひざ・かかと | ○ | 手と同じく角質が厚い部位 |
| 腕・脚などの体 | ○ | 問題ないが量を使うのでコスパは悪い |
| 首 | △ | 顔に近い薄さ。積極的には勧めない |
| 顔 | × | 設計が違う。刺激や毛穴詰まりのおそれ |
| 唇 | × | 口に入る前提で作られていない |
| 髪 | △ | ものによる。詳しくは後述 |
ざっくり言うと、皮膚が厚いところほどOKで、薄いところほどNG。ハンドクリームは手のために作られていて、手は体の中でもかなり皮膚が厚い部類だからだ。
③ 顔に向かない理由は3つ
1. 油分が多すぎる
手は毎日何度も洗うし、皮脂腺が少ない。だからハンドクリームは油分を多めにして、洗っても落ちにくく作られている。
その設計をそのまま顔に持ってくると油分が過剰になる。毛穴が詰まってニキビや吹き出物の原因になるおそれがある。特に、皮脂が出やすいおでこや鼻は避けたほうがいい。
2. 尿素が入っていることがある
ここが一番大事なところ。
手荒れ向けのハンドクリームには尿素が配合されているものが多い。尿素には硬くなった角質をやわらかくする働きがあって、ガチガチになった手やかかとには向いている。
ただし顔の皮膚は手よりずっと薄い。同じものを顔に使うと刺激が強すぎて、かえって乾燥したり荒れたりするおそれがある。尿素入りのものを顔に塗るのは避けたほうがいい。
成分表示か、パッケージの「尿素配合」の文字を見れば分かる。判断に迷ったらここだけ確認すればいい。
3. 香りが強いものがある
手なら心地よい香りでも、鼻の近くに塗ると一日中それを嗅ぎ続けることになる。単純にきつい。
香料そのものが刺激になることもあるので、顔まわりに使うものは無香料が無難という一般論はここでも当てはまる。
4. アルコール(エタノール)配合のものは刺激になりやすい
サラッとした使用感を出すために、ハンドクリームにはアルコール(エタノール)が入っていることがある。手の皮膚には問題なくても、顔、特に目のまわりや口元の薄い皮膚には刺激が強すぎることがある。
「クールタイプ」「さっぱりタイプ」のように、つけた瞬間にひんやり感じるものはアルコールが入っている可能性が高い。成分表示の上の方に「エタノール」とあれば、顔には使わないほうが無難。
④ もう塗ってしまった場合
「知らずに顔に塗ってしまった」という場合、一度塗ったくらいで大ごとにはならないことがほとんど。慌てなくていい。
- ぬるま湯と、いつも使っている洗顔料で普通に洗い流す
- ゴシゴシこすらない。摩擦のほうが肌には負担になる
- 赤みやヒリつきが出たら、その後は何も足さずに様子を見る
- 症状が続くようなら皮膚科へ
問題になるのは常用したときの話で、一回の事故ではない。
⑤ 唇・髪・体はどうか
唇:やめておく
唇は顔の中でもとくに皮膚が薄い。そしてリップクリームと違って、ハンドクリームは口に入ることを前提に作られていない。話したり飲み食いしたりすれば多少は口に入るので、ここは代用しないほうがいい。
髪:尿素入りでなければ、毛先に少量なら
ヘアバームを切らしたときに毛先のパサつきを抑える、くらいの用途なら使えなくはない。油分で毛先をまとめるという意味では働きが近い。
ただし条件が2つある。尿素入りは使わないこと(角質をやわらかくする働きが髪にはマイナスに出て、かえってきしむ)と、量を出しすぎないこと。多いと洗っていない人の頭になる。米粒くらいを手のひらでよく伸ばしてから、毛先だけに触れる程度で十分。
体・ひじ・かかと:むしろ向いている
ひじ、ひざ、かかとは手と同じく角質が厚くなりやすい部位なので、ハンドクリームの設計と相性がいい。顔ではデメリットだった尿素も、ここではむしろ狙って使う成分になる。
腕や脚も塗って問題はない。ただ面積が広いぶん量を使うので、ボディ用を買ったほうが安く済む。
首:顔に準じて考える
首は顔ほどではないが皮膚が薄めで、しかも人から見られる場所。手を良くしようとしている人なら、首も顔と同じ扱いにしておいたほうが無難だと思う。
⑥ 「顔にも使える」と書いてある製品なら話は別
ここまで顔は避けろと書いてきたが、例外がある。最初から全身用として作られているものだ。
マルチバームや全身保湿クリームと呼ばれるジャンルがあって、これらは顔・手・体・髪までカバーする前提で設計されている。ワセリンのようなシンプルな保湿剤も同じ発想。1本で済ませたい人にとっては本命はこちらになる。
見分け方は単純で、パッケージか公式サイトに用途として「顔」が書いてあるかどうか。書いてあるならメーカーがそれを想定して作っている。書いていないものを自己判断で顔に使うのが良くない、というだけの話で、ハンドクリームという商品が悪いわけではない。
ただし全身用は、手だけを本気でケアしたい人には物足りないことが多い。守備範囲を広げるぶん、手荒れ向けの成分は控えめになるからだ。1本で全部か、手は専用にするかのどちらを取るかという話になる。
⑦ まとめ(1本で済ませるなら、上から下へ)
- 皮膚が厚いところほどOK、薄いところほどNG
- 顔と唇は避ける。油分が多く、設計が違う
- 判断の分かれ目は尿素が入っているか。入っていたら顔と髪には使わない
- ひじ・ひざ・かかとにはむしろ向いている
- 顔に塗ってしまっても、洗い流せばたいてい問題ない
- 用途に「顔」と書いてある全身用なら、そもそも問題ない
本数を増やしたくないなら、顔用を1本だけ別に持って、それ以外はハンドクリームで下に向かって使い回すのが現実的だと思う。顔だけは分ける、と決めてしまえば迷う場面がなくなる。
その1本をどれにするかは、こちらにまとめている → 結局どれ?仕事用ハンドクリームはこれ1本でいい【30代男性向け】
手用として1本選び直したい人は、区分と成分で並べた比較記事もあります。
→ NULL・ZIGEN・ハンドピュレナの違いは?メンズハンドクリーム3本を区分と価格で選び分ける


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